四省庁報告書、七省庁手引き関連
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タイトル (Title)
四省庁報告書、七省庁手引き関連
テーマ (Subject)
4省庁報告書 7省庁手引き
詳細 (Description)
太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査報告書(四省庁報告書)①
地域防災計画における津波防災対策の手引き(七省庁手引き)②
この二つの報告書に関連して、電事連と、当時の規制当局だった資源エネルギー庁がやりとりした文書
①②二つの関係について、首藤伸夫氏は以下のように説明している。
「いわゆる海岸4省庁(建設省河川局、運輸省港湾局、農水省水産庁、農水省構造改善局)が日本海東縁部地震津波防災施設整備のための調査を終え、次に太平洋沿岸を対象に取りかかったころ【これが①、筆者注】、気象庁は津波予報の精度向上を図るため数値計算に基づいた量的予報の準備をしており、さらにその量的予報結果を地先々々で津波災害に役立たせるための作業を国土庁、消防庁、気象庁が行っていた。この二つの流れが合流し、「地域防災計画における津波対策強化の手引き」【これが②】としてまとめられたのが、平成9(1997)年3月である。津波常襲地域総合防災対策指針(案)(1983)を下敷きとしながら、沿岸の発展に見合うように改良したものと云うことが出来よう」(首藤伸夫 「津波総合防災対策の歴史と今後の課題」 月刊海洋 1998.11 190-195)
①②の報告書は、電力会社にはとても都合の悪いものだったようだ。
7省庁手引きの考え方にもとづいて計算した津波高さは、開示文書のp.9
これによると、福島第一は最大8.6mになる。
開示文書のp.16には、東電担当者の手書きで、
「四省庁津波計算結果から読み取った各サイト付近の津波高さ(この値には、実測値と計測値の差のバラツキが考慮されていない) この値を見ると福一、福二、東海地点はNG」と書かれている。
「これが、後に長期評価に基づく津波シミュレーションが行われた際の取水ポンプ位置の津波高さとほとんど同じなのは、偶然には思えない。これは、あくまでも国が一般防災用に出した基準による数値で、原発用に万が一まで考慮したものではない。数値解析の誤差や津波の遡上を考慮すれば、この時点で、東京電力は10m盤を超える津波に対する対策をとるべきだった」と東電刑事裁判の遺族の代理人弁護士は述べている。(被害者意見要旨p.21)
開示文書p.594「太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査」への対応について(1997年7月25日 津波対応WG)では、電事連から通産省に建設省(事務局)に圧力をかけるよう強い文言で要望している。(『原発と大津波』p.72)
「最大規模の津波の数値を公表した場合、社会的に大きな混乱が生ずると考えられるから、具体的な数値の公表は避けていただきたい」
「現状の津波予測には限界があり、予測には誤差がある旨強調されている。精度に限界があることを必要以上に強調しないでいただきたい」
「検討結果の公表に際しては、事前に公表内容の調整をさせていただきたい」
開示文書p.4「7省庁津波に対する問題点及び今後の対応方針」(電事連ペーパー、1997年10月15日)も興味深い。この時点以降、東電が事故を起こすまでの東電の姿勢が、ここに表されている。
1.(2)原子力との相違点
通産省を通して報告書(ドラフト版)を入手、分析した。原子力の考え方との大きな相違点は以下の通りである。
①対象とする津波
従来、原子力では安全設計審査指針に基づき、歴史津波及び活断層による地震津波を対象としてきたのに対し、⑦省庁の検討ではこれらに加え、地震地体構造的見地から想定される最大規模の地震津波を考慮している。
七省庁手引きでは1677年延宝房総沖を福島沖に置いて計算することが、東電にとっては都合が悪かった。このため、土木学会で津波想定の方法(土木学会手法)を検討してもらい、その報告書では1677年の波源を福島沖には置かない形にした。(詳しくはこちら)
しかし、2002年7月の地震本部長期評価で再び福島沖の津波地震を指摘され、その対応を2007年11月から再開する。対策が難しいため、引き延ばし続けているうちに、2011年3月11日を迎えた。
地域防災計画における津波防災対策の手引き(七省庁手引き)②
この二つの報告書に関連して、電事連と、当時の規制当局だった資源エネルギー庁がやりとりした文書
①②二つの関係について、首藤伸夫氏は以下のように説明している。
「いわゆる海岸4省庁(建設省河川局、運輸省港湾局、農水省水産庁、農水省構造改善局)が日本海東縁部地震津波防災施設整備のための調査を終え、次に太平洋沿岸を対象に取りかかったころ【これが①、筆者注】、気象庁は津波予報の精度向上を図るため数値計算に基づいた量的予報の準備をしており、さらにその量的予報結果を地先々々で津波災害に役立たせるための作業を国土庁、消防庁、気象庁が行っていた。この二つの流れが合流し、「地域防災計画における津波対策強化の手引き」【これが②】としてまとめられたのが、平成9(1997)年3月である。津波常襲地域総合防災対策指針(案)(1983)を下敷きとしながら、沿岸の発展に見合うように改良したものと云うことが出来よう」(首藤伸夫 「津波総合防災対策の歴史と今後の課題」 月刊海洋 1998.11 190-195)
①②の報告書は、電力会社にはとても都合の悪いものだったようだ。
7省庁手引きの考え方にもとづいて計算した津波高さは、開示文書のp.9
これによると、福島第一は最大8.6mになる。
開示文書のp.16には、東電担当者の手書きで、
「四省庁津波計算結果から読み取った各サイト付近の津波高さ(この値には、実測値と計測値の差のバラツキが考慮されていない) この値を見ると福一、福二、東海地点はNG」と書かれている。
「これが、後に長期評価に基づく津波シミュレーションが行われた際の取水ポンプ位置の津波高さとほとんど同じなのは、偶然には思えない。これは、あくまでも国が一般防災用に出した基準による数値で、原発用に万が一まで考慮したものではない。数値解析の誤差や津波の遡上を考慮すれば、この時点で、東京電力は10m盤を超える津波に対する対策をとるべきだった」と東電刑事裁判の遺族の代理人弁護士は述べている。(被害者意見要旨p.21)
開示文書p.594「太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査」への対応について(1997年7月25日 津波対応WG)では、電事連から通産省に建設省(事務局)に圧力をかけるよう強い文言で要望している。(『原発と大津波』p.72)
「最大規模の津波の数値を公表した場合、社会的に大きな混乱が生ずると考えられるから、具体的な数値の公表は避けていただきたい」
「現状の津波予測には限界があり、予測には誤差がある旨強調されている。精度に限界があることを必要以上に強調しないでいただきたい」
「検討結果の公表に際しては、事前に公表内容の調整をさせていただきたい」
開示文書p.4「7省庁津波に対する問題点及び今後の対応方針」(電事連ペーパー、1997年10月15日)も興味深い。この時点以降、東電が事故を起こすまでの東電の姿勢が、ここに表されている。
1.(2)原子力との相違点
通産省を通して報告書(ドラフト版)を入手、分析した。原子力の考え方との大きな相違点は以下の通りである。
①対象とする津波
従来、原子力では安全設計審査指針に基づき、歴史津波及び活断層による地震津波を対象としてきたのに対し、⑦省庁の検討ではこれらに加え、地震地体構造的見地から想定される最大規模の地震津波を考慮している。
七省庁手引きでは1677年延宝房総沖を福島沖に置いて計算することが、東電にとっては都合が悪かった。このため、土木学会で津波想定の方法(土木学会手法)を検討してもらい、その報告書では1677年の波源を福島沖には置かない形にした。(詳しくはこちら)
しかし、2002年7月の地震本部長期評価で再び福島沖の津波地震を指摘され、その対応を2007年11月から再開する。対策が難しいため、引き延ばし続けているうちに、2011年3月11日を迎えた。
制作者 (Creator)
電事連 資源エネルギー庁
発行者 (Publisher)
原子力規制委員会
日付 (Date)
文書の作成は1997年から1998年
開示請求受付は2014年7月31日
開示決定日 2014年9月29日
開示請求受付は2014年7月31日
開示決定日 2014年9月29日
協力者 (Contributor)
開示請求 添田孝史
関連 (Relation)
朝日新聞小森敦司記者がwebronzaでこの開示文書について記事を書いている。
https://webronza.asahi.com/business/articles/2015101600011.html
https://webronza.asahi.com/business/articles/2015101600011.html
フォーマット (Format)
PDF 657ページ
タイプ (Type)
開示された行政文書
識別子 (Identifier)
原規規発第1409297
ファイル
引用
電事連 資源エネルギー庁, “四省庁報告書、七省庁手引き関連,” 東電福島原発事故の資料, accessed 2024年12月3日, https://database.level7online.jp/items/show/9.